十一面観音立像 附像内納入品
じゅういちめんかんのんりゅうぞう つけたりぞうないのうにゅうひん
概要
少年のような可憐な表情をもつ十一面観音像。現状は黒く古色をかけられているが、腹部の条帛(じようはく)の一部に当初の華麗な彩色と截金(きりかね)が少し見える。像内内刳(うちぐり)部の墨書銘と、納入されていた『金剛般若波羅蜜経(こんごうはんにゃはらみつきょう)』の奥書から、春日信仰を背景に、承久3年(1221)に仏師善円によって造立されたことがわかる。米国・アジアソサエティーに所蔵される地蔵菩薩像(じぞうぼさつぞう)などとともに、春日の本地仏(ほんじぶつ)として制作されたものとみられている。なお十一面観音を本地とするのは春日四宮である。
なら仏像館 名品図録. 奈良国立博物館, 2010, p.102, no.132.