愛染明王坐像
あいぜんみょうおうざぞう
概要
愛染明王坐像
あいぜんみょうおうざぞう
台座や光背はもとより、金銅(こんどう)製の装身具や表面の彩色にいたるまで保存の完好な作品。台座下框(したがまち)裏の銘文や像内に納入されていた『瑜伽瑜祇経(ゆがゆぎきょう)』の奥書により、建長8年(1256)に快成(かいじょう)を大仏師として、山城国相楽郡東小田原(現、京都府木津川市加茂町)において造立された像で、銘文等の筆者は、西大寺を復興した興正菩薩叡尊(こうしょうぼさつえいそん)の高弟寂澄(じゃくちょう)であったことや、治承の兵火で焼失した東大寺大仏殿の焼け残りの柱材を用いての造像であったことも知られる。なお快成は同時期に同じ場所において同じ材を用いて、地蔵菩薩像(じぞうぼさつぞう)も制作している。
なら仏像館 名品図録. 奈良国立博物館, 2010, p.105, no.138.