竺仙梵僊墨蹟 偈
じくせんぼんせんぼくせき げ
概要
竺仙梵僊は古林清茂会下の友社の中心人物で、多分大友貞宗かと思われるが、わが国の誰かからの招請に応じて来日した。嘉暦4年(1329)38歳の時である。鎌倉や京の諸大寺の主となって、北条高時、足利尊氏・忠義をはじめ、上下の尊崇をうけた。およそ二十年にわたって、金剛幢(古林清茂の別称)下の高雅勁直な宗風を直伝し、わが国の禅林に元朝直系の新風を吹き込んだ。貞和4年(1348)57歳で示寂。
その書風はまさに黄山谷流で、多くの威風堂々たる大墨跡が遺存する。本幅はそれらに比して、内容的にはさして重いものではない。暦応2年(1339)の新春に際して、道友に贈った賀偈であるが、師の文藻の深さを知る好作例である。
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