教訓抄〈巻第十/〉
きょうくんしょう
概要
「教訓抄」(十巻)は鎌倉時代狛近真【こまのちかざね】が著わしたわが国最古の舞楽書。楽曲や楽器の由来・奏法・逸話などを蒐録してあり、雅楽研究上重要な典籍となっている。本巻は巻第十の打物案譜法を書写したもので、大鼓・鉦鼓・楷鼓などの譜や奏法・口伝等が記されている。書写年代は鎌倉後期の文保元年(一三一七)で、筆者の豊原兼秋は後醍醐天皇の笙師であった。紙背には豊原家相伝の荒序舞の古記録二種の抄記や応永元年豊原量秋【かずあき】追記の当道相伝事などがある。雅楽書の古写本として注目されるものである。