虎塚古墳
とらづかこふん
概要
茨城県の北部を流れる那珂川の下流の北側一帯には低い台地が広がっている。
古墳はこの台地の一つ、中根台地上に築かれた全長約60メートルの前方後円墳で、周濠をともなっている。昨年9月の発掘調査の結果、壁画をもつ内部主体が発見された。
内部主体は、後円部の基底部近くに設けられた凝灰岩切石を組み合わせた横穴式石室である。石室は玄室と羨道からなり、玄室は天井3枚、東側壁1枚、西側壁2枚、奥壁1枚の切石で築かれ、内法長さ3.07メートル、幅1.4メートル、高さ1.5メートルをはかる。また羨道はその南に設けられている。
玄室内壁は、床面上を含め全面に白土を塗り、天井・床面では白土上全面を赤色に塗彩している。この古墳を特色づける壁画は、奥壁と東・西壁にある。それは白土を下地に三角連続文・円文・渦文などの幾何学文様、大刀・槍・靱・楯などの武器、武具類などの絵画が赤色で描いてある。
東日本で発見された装飾古墳のうち、その装飾文様の種類と構成は類例の少ない優れたものであり、また前方後円墳としても唯一のものとして貴重である。