大坊古墳
だいぼうこふん
概要
S51-12-019[[大坊古墳]たいぼうこふん].txt: 有明海に流れこむ菊池川の右岸、玉名平野に臨む東西にのびる丘陵の南斜面には、装飾古墳が集中している。東に永安寺東・西古墳・馬出古墳、その西に大坊古墳があり、さらに西側の谷には石貫ナギノ横穴群、石貫穴観音横穴などがある。
大坊古墳は丘陵端部に築かれた東西に軸をおく前方後円墳である。前方部を西に向ける。後円部の中央から南に向けて複室の横穴式石室が開口している。古墳の全長は約40メートル、前方部長20メートル、後円部径20メートル弱、高さ4メートルを測る。
石室は、全長約6メートル、奥室は奥行3.4メートル、幅2.7メートル、高さ2.8メートルあり、前室は奥行1.3メートル、幅2.2メートルある。側壁は安山岩の割石積である。奥室内には凝灰岩の切石を用いた精巧な石屋形があり、その両袖石と内面奥壁及び左右の壁、奥室の正面扉石に赤と青の顔料を用いた三角文と円文が描かれている。
本古墳は古くより開口していたが、昭和38年調査され、奥室からは直刀1、鉄鏃一括、鉄鉾2、青磁〓(*1)1、金銅環1、金製環、管玉3、前室からは杏葉1、鐙1、刀子1、飾金具1、須恵器高坏2、提瓶1、[[〓(*2)]はそう]1、土師質台付壺1、羨道部から金銅環1、須恵器〓(*1)他が検出されている。また攪乱土中より金製環2、金銅環2、金製垂飾1、管玉など多数の遺物が採集された。出土品の示すところからすれば6世紀中葉の築造とみられる。
本古墳は肥後の装飾古墳の内でも保存状況がよく、副葬品にもみるべきものであり注目される。装飾文様は複雑ではないが、大胆な構成をもっており、芸術的にも高く評価されており、装飾古墳として、重要なものの一つである。