三河の田楽
みかわのでんがく
概要
三河・信州・遠州の山間には、観音堂や阿弥陀堂、薬師堂などの春おこないとして田遊びや田楽躍、それに翁その他の仮面の舞、神楽風の舞など中世芸能の面影をとどめた諸芸競演の姿を今に伝えているところがある。三河三田楽と称されている田峯、鳳来寺、黒沢のそれは、伝承内容が豊富で芸能史的評価の高いものであるが、三者近隣の三田楽であり、目下それぞれの保存会が歩調を合わせ協力し、保存継承に当ろうとしている。
田峯田楽は昼田楽・夜田楽・朝田楽の三部構成で演じられているが、当地方代表田楽として早くから注目されていたものである。鳳来寺のは古刹に伝承されたものとして世に知られ、黒沢のは標高四、五百メートルの山腹に点在する数戸だけで伝承してきており、田遊びの次第に特色を見せている。