鷲ノ木遺跡
わしのきいせき
概要
本遺跡は北海道南部噴火湾に面した森町に位置する。高速道路建設に先立ち森町教育委員会が発掘調査を行ったところ、縄文時代後期の大規模な環状列石や竪穴墓域が見つかった。環状列石は中央の配石とそれを中心にし、50cmほどの間をあけて配置された二重の列石から構成され、外周は南北37m、東西34mの規模で、ほぼ円形である。環状列石を構成している礫の大きさは20から80cm、総数は約530個で内側の方がやや大きい傾向がある。環状列石に伴うものとしては、埋設土器1個と5箇所の砂利の集積がある。竪穴墓域は楕円形の竪穴内に大小10基の土坑があるもので、環状列石から西へ5m離れた場所から発見された。環状列石と竪穴墓域は駒ヶ岳dテフラに厚く覆われていたため、保存状態が極めて良好である。環状列石の規模は北海道内では最大で、全国的にみても3番目となる。また、構造や礫の配置などには北東北の環状列石とは異なった状況もみられ、配石下の土坑などが確認されていないことから、環状列石自体は墓地として機能していない可能性が強い。本遺跡は北日本における環状列石や墓制、祭祀などの精神世界、北海道と本州の交流について考える上で重要であると同時に北海道独自の墓制である周堤墓の成立過程を探ることができるものとしても重要である。