大将軍神半跏像
だいしょうぐんしんはんかぞう
概要
京都・大将軍八神社の神像群とともに伝来したという神像で、右足を踏み下げて坐(すわ)る。瞋怒相(しんぬそう)で甲冑(かっちゅう)を着用した姿だが、平安後期彫刻らしい穏やかな表現が目立つ。今日大将軍八神社は祇園社(現・八坂神社)の祭神である牛頭天王(ごずてんのう)と同体の素戔嗚尊(すさのおのみこと)を主神とする。牛頭天王・大将軍神とも、恐ろしい疫神を慰撫して災厄を除くという信仰の対象だが、牛頭天王の彫像の中にも本像に似た着甲・踏み下げの作例があり、四天王など仏教の神将像の影響を受けて形成された、この種の神々の姿の系譜を考える上で興味深い。
なら仏像館 名品図録. 奈良国立博物館, 2010, p.114, no.148.