朽木池の沢庭園
くつきいけのさわていえん
概要
琵琶湖の西北岸へと注ぐ安曇(あど)川の上流部は,深い渓谷をなし,「朽木谷(くつきだに)」と呼ばれている。その左岸の小規模な河岸段丘面上において,12世紀後半から13世紀前半の庭園遺構が発見された。
この庭園は,窪みや山裾(やますそ)から湧き出る水を集めて池泉(ちせん)や流れを造り,岩盤の高まりを取り込んで築山(つきやま)や中島を造るなど,自然の地形を巧みに利用して造られている。
朽木は12世紀末期から13世紀にかけて多くの和歌に詠まれ,風光明媚な渓谷の景勝地として都の人々のあこがれの地となってきた。この庭園は,そのような都の人々が避暑などのために営んだ山荘の庭園であった可能性が高い。
同時期に都の郊外に営まれた庭園遺構で今日に残されている事例はほとんどなく,庭園史上の空白期を埋める貴重な事例であることから,名勝に指定し,保護しようとするものである。
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国指定文化財等データベース(文化庁)