水科古墳群
みずしなこふんぐん
概要
新潟県の頸城平野の東端近くに所在する飯田川の東岸、扇状地上に営まれた後期古墳群である。約1ヘクタールという狭い地域内に32基の横穴式石室墳が群集している。横穴式石室墳はすべて墳丘が削平されているが、大部分が円墳であったことが確認されている。第19号古墳は羨道入口の左右1メートル外脇から墳丘域を示す周溝を、第21号古墳では羨道外端から河原石を墳丘裾に外護列石状に積み、ともに円墳であることを示している。横穴式石室は河原石を積み側壁を作るものであるが規模は比較的多様である。規模大なものとしては全長8.6メートル、幅0.9メートル前後のものが、また中規模のものとしては全長3.5~4メートル、幅0.8~0.9メートルの一群があり、さらに小規模なものとして全長1~1.3メートル、幅0.3~0.5メートルといった一群がみられる。前二者は追葬を配慮したものであり副葬品を見るが、後者は1人の被葬者を暗示しており副葬品も明らかでない。
本古墳群は、墳丘基底部の構造をよくとどめるばかりでなく、石室床面の敷石、羨道閉塞などの実際をよく伝えており、注目される。いずれにせよ、日本海沿岸北部の重要な後期古墳群というばかりでなく、その群の構造なり、内容が示すところは、この地域の動向をきわめて具体的に窺わせるにたるものとして貴重なものと考えられるのである