宇志比古神社本殿
うしひこじんじゃほんでん
概要
宇志比古神社は,鳴門市の南西部に所在する。創立,沿革については明確でないが,江戸時代には八幡宮と呼ばれ,現在に至るまで地元の尊崇を集めた。明治以降,宇志比古神社を称している。
本殿は三間社流造,銅板葺である。内外とも素木であるが,外陣内部内法長押に唐草文様を描き,内外陣境板扉には松を描く。建立年代は,棟札,細部の様式及び技法から,慶長4年(1599)と考えられる。
宇志比古神社本殿は,規模の大きい三間社流造で,庇を板敷として両側面の切目縁に連ね,縁に段差を付けるなど,変化に富んだ特徴的な形式になる。
装飾が少なく全体として簡素なつくりだが,蟇股や手挟,木鼻など彫刻の細部は洗練された意匠をもつ。
徳島県下の神社建築本殿として最古例と考えられる重要な遺構である。