荏柄天神社本殿
えがらてんじんしゃほんでん
概要
荏柄天神社は,鶴岡八幡宮の東方に位置している。長治元年(1104)に菅原道真を勧請し,創立されたとされ,鎌倉時代初期より幕府との関わりが記録に見える。
現存する本殿は,寛永元年(1624)の鶴岡八幡宮若宮の社殿造営に伴い,若宮の旧本殿を移築して再興されたものである。若宮は,正和5年(1315)再建後,中世を通じて維持されていることから,この本殿は14世紀に遡る可能性がある。
形式は三間社流 造 ,屋根は銅板葺である。内部は小組格天井とし,内法長押上の小壁に横連子を入れる。
荏柄天神社本殿は,江戸時代初頭に鶴岡八幡宮の若宮本殿を移築したもので,
鶴岡八幡宮の室町時代に遡る主要社殿を伝える唯一の例として重要である。
三間社としては大型で,内外ともに細部の意匠も優れ,中世鎌倉における社殿の様式を知る上で欠くことのできない貴重な遺構である。