金銅羯磨
こんどうかつま
概要
鈷(こ)に張りがなく、全体にやや委縮した雰囲気の小形の羯磨(かつま)である。中央の轂(こく)は八葉素弁の花文とし、花心は凸レンズ状に盛り上げている。花心の周囲に圏帯を巡らす。鈷は根元に間弁付きの四弁花を表す。鈷は短く、脇鈷(わきこ)は強く内側に湾曲し、中鈷に連結する。脇鈷は嘴形(くちばしがた)を刻むが、樋(ひ)は刻んでいない。このような形式の羯磨は、しばしば室町時代(15~16世紀)に見ることができ、本品の製作時期もこの時代に置くべきであろう。
古玩逍遥 服部和彦氏寄贈 仏教工芸. 奈良国立博物館, 2007, pp.54-55, no.34.