福成寺本堂内厨子及び須弥壇
ふくじょうじほんどうないずしおよびしゅみだん
概要
福成寺は東広島市の東南端に位置する真言宗寺院である。福成寺が所在する安芸国東西条は,室町時代,安芸に進出した周防大内氏が支配していた。
福成寺本堂内厨子は桁行一間,梁間一間,入母屋造,板葺,妻入の形式である。
須弥壇は上下に刳形付框を重ねた形式で,正面腰部には入八双形の装飾をつける。
様式的特徴や細部などから,福成寺本堂内厨子及び須弥壇は15世紀前期の作と考えられる。福成寺には旧本堂の部材と考えられる応永21年(1414)の銘のある板絵が現存し,厨子の建築年代もこの頃と比定される。
福成寺本堂内厨子及び須弥壇は,16世紀以降,瀬戸内地方に広く流布した妻入厨子の嚆矢となる意欲的な作品といえ,建築史上,高い価値がある。また,周防大内氏による造営が確実な作品であり,中国地方における大内氏の支配や文化の展開を考える上でも,重要な存在である。