大乗掌珍論 巻上残巻
だいじょうしょうちんろん
概要
法隆寺一切経中の一巻をなし、巻首一紙半の本文を欠くが、現在は十六紙が存し、末尾に「大乗掌珎論巻上」と記す。料紙は白質の斐紙を用い、その俊勁な書風から奈良時代末期の書写と思われる。本文の全面にわたって白書の註記と、白書朱書の訓点があり、紙背にも朱白二様の註記がある。これらの註記は奥書により承和元年(834)、嘉祥2年(849)をはじめとする時期に施されたものであることが知られ、訓点研究上重要な資料を提供する。巻末と紙背に「法隆寺/一切經」の墨方印を捺す。
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