法華寺のカラブロ 附 明和三年銘棟札、井戸
ほっけじのからぶろ つけたり めいわさんねんめいむなふだ、いど
概要
我が国の民間の入浴習俗は、主に医療を目的とし、現在残る入浴施設の起源も、特定の寺院や個人と結びついて語られることが多い。法華寺のカラブロもその一つである。
このカラブロは、鉄釜で沸かした熱湯の蒸気を密閉した木造の風呂屋形の床下に導き、室内を蒸気で満たした中に入浴する蒸気導入方式の施設で、これらを覆う建物を含めてカラブロと呼んでいる。
このカラブロは、光明皇后の千人施浴伝説を背景に、明治初年までは正月13日の節会と6月7日の光明皇后の命日に行われる会式の際、施浴のために焚かれていた。その後も光明会が組織され、年1回風呂が焚き続けられ、近隣の人々の要請で臨時に焚かれることもあった。入浴は、男女別々に浴衣などを着て入り、口には濡れ手拭いを当てて何度も出入りを繰り返した。
我が国の民間医療施設としての風呂の種類や変遷を知る上で、また蒸気導入方式による入浴の方式を知るうえで欠かせない施設であり、民俗知識の実態を知る上で重要である。