ヤマヤナ物語屏風
やまやなものがたりびょうぶ
概要
本品は表側に『ラーマーヤナ』、裏側にジャータカを表す5曲1隻の屏風である。『ラーマーヤナ』はインドの古代叙事詩として知られ、ミャンマーでは『ヤマヤナ』と呼称される。
表側全体に森の情景を表しており、王子ラーマと妻シーター、ラーマの異母弟ラクシュマナが森に暮らしたことを想起させる。また、描かれたラーマは身長ほどもある大きな弓を持っており、ヴィデーハ国の王女であったシーターとの結婚の条件として、強弓を引くことを王から提示され、ラーマはこれに容易に応えたという内容に由来すると考えられる。
裏側は各扇に2話ずつ、計10のジャータカ(釈迦の前世の物語)を表している。
表裏とも一画面中に複数の場面を表すが、植物や装飾文様を用いて区画することで、装飾性の高い全体の雰囲気を損ねず、かつ、それぞれのエピソードが混ざることなく表されている。丁寧な彫りにより、細い輪郭線から衣服に充填された文様まで見事に表現しており、技術の高さがうかがわれる。