山水図屏風
さんすいずびょうぶ
概要
道の画家ともいわれる蕪村。画中に道を描き人物を配することが多く、この屏風も例外ではない。銀箔を押した紙に水墨で山水図を描き、水面や人物の衣服などには淡彩で色が施されている。銀地の屏風は非常に数が少なく、墨の下からの銀の金属的な光沢によって、画面全体にほのかな光が感じられる。両隻ともに道に沿って画面が展開していき、右隻では垂直感が、左隻では水平感がより強調された構図となっている。
両隻には七言絶句の漢詩が伴う。右隻は張籍[ちょうせき]の「蠻州[ばんしゅう]」、左隻は周南峰[しゅうなんぽう]の「閩浙[びんせつ]の分水界」と題する詩で、いずれも『聯珠詩格[れんじゅしかく]』(于済撰)に載る。
また、元末四大家といわれる黄公望・呉鎮・倪瓚・王蒙の筆法が集大成されているとされ、六十八歳で亡くなる前年に完成した蕪村最晩年の大作である。
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MIHO MUSEUM