種痘済証
概要
昭和12~22年に発行された種痘済証である。
①、②、④の表面には、「第一期種痘済證」、③の表面には「第二期種痘済證」と書かれており、明治42年の種痘法によると、第一期は出生より6月に至る間、但し不善感(種痘の効果が現れず、免疫を生じない状態)の際は翌年12月に至る間に於いて更に種痘を行うべしとされ、第二期は数え歳10歳但し不善感の際は翌年12月に至る間に於いて更に種痘を行うべしとされている。
その他に①~④に共通して、種痘を受けた者の住所・氏名・生年月・種痘を受けた日・交付日・当時の高岡市長の名前・高岡市長角印の記載がある。
①、②、④の裏面には、この証を第二期を受けるまで保存すること、請求された際に、この証もしくは代わりに証明できるものを呈示しなければ、10円の科料に処すとの注意書きが、③の裏面には、この証を20歳になるまで保存すること、請求された際にこの証もしくは代わりに証明できるものを呈示しなければ、10円の科料に処すとの注意書きがある。これらは全て縦書きである。
用紙は①、②、④は赤色、③は薄ピンク色である。
ちなみに、当館には既に第一期種痘証(1-01-79)、第一期・第二期種痘済証(1-01-103)が収蔵されている。
①年代:昭和12年(1937)3月14日
作者:高岡市長 堀豊
寸法:縦16.5cm×横13.5cm
②年代:昭和18年(1943)3月4日
作者:高岡市長 木津太郎平
寸法:縦16.2cm×横13.2cm
③年代:昭和21年(1946)3月12日
作者:高岡市長 堀健治
寸法:縦16.2cm×横12.5cm
④年代:昭和22年(1947)3月
作者:高岡市長 木津太郎平・高岡市長代理助役 上野久哉
寸法:縦16.2cm×横12.3cm
<種痘(しゅとう)>
痘瘡(天然痘)の予防接種のことで、痘瘡ウイルスよりはるかに弱毒であるワクシニアウイルスの接種により積極的に痘瘡に対する免疫を獲得しようとするものである。1958年から世界保健機関(WHO)を中心に痘瘡根絶計画が全世界的な規模で推進され、80年に痘瘡根絶宣言が出されたことにより、種痘の必要性はなくなった。
<参考>日本大百科全書(ニッポニカ)(平成28年8月3日アクセス)