埴輪 農夫
はにわ のうふ
概要
笠をかぶり、右肩に農具をかけた男子(農夫)を表現する。背から腹にかけて大きな欠損が認められ、後補部分が多いが、顔ならびに基台についてはほぼ完存する。基台に透かし孔を対向する方向に2つあける。笠は先端が尖る円錐形のもので、菅笠や網代笠のような編笠の一種と考えられる。目は杏仁形に透かし孔をあけ、眉と鼻は連接して粘土を隆起させて作り出している。口は横一文字に透かし孔で表現する。耳は大きな耳環を着装し、その上から耳の脇で束ねた髪を折り返してまとめた「上げ美豆良」を結う。右肩には肩に沿って大きく曲がる農具とみられるものをかけており、鍬か鎌かは判然としない。また、両手は農具を握らずに胸に当てている。群馬県佐波郡境町大字境上武士(現在の伊勢崎市)天神山古墳出土と伝わる。