坂本龍馬関係書状 慶応三年十月九日 坂本権平あて
サカモトリョウマカンケイショジョウ ケイオウサンネンジュウガツココノカ サカモトゴンベイアテ
概要
慶応三年九月末に土佐帰郷をはたした龍馬が土佐を発って入京した直後、土佐の兄坂本権平に出した手紙。大政奉還直前の京都の不穏な情勢を伝えている。故郷に出した最後の手紙。写真下段右側の手紙。 土佐の家族へ宛てた最後の手紙。慶応三年の九月末、龍馬は長崎からライフル銃千挺を載せた安芸藩の船震天丸で土佐へ帰って来た。脱藩以来五年ぶりに家族に再会したのだ。数日滞在ののち京都へ向かったのだが、土佐を離れる際に兄から「着いたら必ず手紙をよこせ」ときつく言われていたのであろう。龍馬は「現在の京坂の様子は以前とはよほど変化していて、日々ごてごてとしていますが、世は乱れようとしてなかなか乱れないものだと皆々申しあっております」と緊迫する京坂の雰囲気を記している。手紙の下半部に残る墨移りの跡から、龍馬は巻紙を左手で握り、右手で筆を走らせたことが分かる。すなわち立ったままこの手紙を書いたのだ。慌ただしいその書きぶりからこの時期の龍馬の忙しさが推察される。(2016年 坂本龍馬展図録 宮川) (追記)