押隈 六代目中村歌右衛門
おしぐま ろくだいめなかむらうたえもん
概要
押隈 六代目中村歌右衛門
おしぐま ろくだいめなかむらうたえもん
本紙553×685、軸長660、全長1330(mm)
千代田区隼町4-1 国立劇場
登録番号12095-41
鈴木十郎コレクション
調査監修:石橋健一郎
解説:安冨順
独立行政法人日本芸術文化振興会
隈:獅子の精の隈。役者・役名:六代目中村歌右衛門。新歌舞伎十八番の内『鏡獅子』の後シテ獅子の精。昭和27年(1952)6月、明治座上演時のもの。『鏡獅子』は九代目市川團十郎が新たに選定した『新歌舞伎十八番』の一つ。本名題は『春興鏡獅子』。獅子の精の隈はむきみの隈に似ている。能『石橋』に登場する獅子は、中国清涼山に棲み、文殊菩薩に仕える霊獣、百獣の王である。魔物ではない。その性格と獅子の力強さをむきみ風の隈で表現するのだろう。添書:「昭和二十七年六月興行/明治座に於て/鏡獅子を/つとめて」。署名:「六代目歌右衛門(朱印)六代/歌右」。六代目中村歌右衛門:大正6年(1917)~平成13年(2001)。五代目中村歌右衛門の次男。兄に五代目中村福助。親子二代にわたり立女方でありかつ歌舞伎界の座頭。息の詰んだ緊張感漲る芸、演じる役の肚の解釈の鋭さで、父が確立した時代物義太夫狂言の女方芸をさらに深化させた。