「海」の似顔絵
「うみ」のにがおえ
概要
「海」の似顔絵
「うみ」のにがおえ
52×40(cm)
千代田区隼町4-1 国立劇場
登録番号6081
曾我廼家五郎旧蔵資料
解説:日比野啓(成蹊大学文学部教授)
独立行政法人日本芸術文化振興会
昭和14年(1939)8月、大阪歌舞伎座で初演された「海」は「二十五分の短い作で、舞台一面を海にし、小舟で夜釣りをしている五郎の漁師が身投げの美人を助け、その女はそれを初めは嫌がりながら、再び生の執着からあべこべに助かつたのを喜んで逃げ出す」(「一堺荘漫筆」)というもので、評論家・三宅周太郎から「作意もウヰツト」があり、「舟をモーターにして動かすのが、廻り舞台にうまくはまるなど、実に才気煥発な作」と激賞され、本人としても会心の作だったようだ。俳優の似顔絵をよく描いた画家・芳賀敏兼(雅号・松龍庵)の筆によるもので、贔屓客が依頼して五郎に贈ったものだろう。