古今和歌集断簡 筋切「おもふといふ」
こきんわかしゅうだんかん すじぎれ おもうという
概要
金銀の揉箔を撒いた料紙に、『古今和歌集』巻第19の和歌4首を書写した断簡。もとは粘葉装の上下2冊の冊子本。上巻は昭和27年(1952)までは完本として伝来したが、その後分割された。切名は、飛雲や羅紋を漉きこみ、金銀の揉箔を撒いた料紙に、銀泥の線が引かれているため「筋切」と称される。もともと料紙は横紙として巻子の仕立てに用いられるはずのものであった。銀泥の線は5本横に引かれ、その線の間に下絵を銀泥で描いたものだが、『古今和歌集』を調製するために90度回転して竪紙として用いられた。そのため線が縦方向となっている。本来は両面書きで、その裏面は篩に似た、荒い布目の跡があるので、その断簡を「通切」と呼ぶ。
本品では優美な料紙に流麗な書風が展開される。伝承筆者を藤原佐理とするが、佐理の筆跡とは異なる。書風から藤原定実筆と推定される。