折爪岳のヒメボタル生息地
おりつめだけのひめぼたるせいそくち
概要
折爪岳のヒメボタル生息地
おりつめだけのひめぼたるせいそくち
岩手県
ヒメボタルの生息域を含めた折爪岳一帯は、「折爪馬仙峡県立自然公園」に指定されている。山頂一帯は第二種特別地域、他は第三種特別地域に指定されている。特別地域内において、その開発行為には県知事の許可が必要となっている。山頂付近の一帯は県有地だが、行政財産として二戸市が借り受けており、そこを中心として開発行為の制限、環境の維持・管理が容易な場所となっている。また、折爪岳地域(二戸市、軽米町、九戸村のそれぞれ一部)は国立公園協会の生物多様性保全モデル地域にも選定されている。2012年から二戸市、軽米町、九戸村の文化財担当者、折爪岳振興協議会(折爪岳周辺の自然環境の保全と適正利用を目的として1968年発足)による調査が実施され、ヒメボタルは主に山頂付近にまとまって生息していることが確認された。今回の指定範囲は、とくにヒメボタルの個体密度が高く、その生存を支える植生が分布し、遊歩道が整備されている部分である。指定範囲の内、軽米町と九戸町に属する部分のほとんどは、県立自然公園に含まれていない。また、範囲の一部は、2013年に二戸市の市天然記念物に指定されている。ヒメボタルは、日の沢などにおいても生息が確認されている。明確な総数は不明だが、折爪岳山頂付近を中心として広域の生息地が広がっていると推定される。折爪岳には、ヒメボタルにとって良好な生息環境が存在し、相当数の個体が分布している。二戸市、軽米町、九戸村、および折爪岳振興協議会では、ヒメボタルの生活史と環境との関係を踏まえ、地元団体の協力を受けながら折爪岳の環境を保全する活動を続けている。山頂付近にはビジターセンターとしての「ふるさと自然公園センター」、森についての展示・学習施設「もりの学び舎」や遊歩道がある。三市町村ではヒメボタルの発生期に合わせて、観賞会を行っている。山頂には車で行けるが、ヒメボタルの保全を優先し、道路には街灯がない。また観賞会でも、赤いセロハンを被せた懐中電灯以外の使用が禁止されている。振興協議会は、主に子どもたちを対象にしたヒメボタルフェスティバルを毎年開催し、専門家を招いての講座やフィールドワークを行っている。ヒメボタルをきっかけとして地元と関西の小学生同士の交流も進めている。市民団体(「えのみの会」など)がエコツアーを実施し、二戸市や九戸村(江刺家財産区)が草刈りなどの環境整備を行っている。
二戸市白鳥字織詰25-186ほか
九戸郡軽米町大字山内第33地割字堰の下62-32
九戸郡九戸村大字江刺家第9地割字嶽81-66
指定
指定年月日:20180413
岩手県
二戸市
軽米町
九戸村(江刺家財産区)
記念物