近江の郷祭り
おうみのごうまつり
概要
近江の郷祭りは、滋賀県のほぼ全域にわたって顕著にみられる祭礼である。郷と称する複数集落によって継承されているが、その連合体となる各集落にも、そもそも個別の神社があるのが通常で、そのため当該住民にとっては祭祀する神社が複数併存することになる。いわば二重の氏子でもあるが、こうした重層的な郷祭りのあり方は、従来、中世の荘園制と荘園鎮守社の存在をはじめ、水利慣行、あるいは在地有力者の連合体などがその背景にあると指摘されてきた。
郷祭りでは、各集落が輪番で祭礼に関する諸役を務めたり、あるいは役割を定めるなど、永年にわたる様々なしきたりによって、祭りが運営されている。座衆ともいって、各集落には神職とは別に、神社祭祀を預かる特定集団(宮座)が存在し、さらにその中から輪番制などで任を受けた戸主らが当年祭事の運用にあたっている。これを頭屋などという。そのほか、担ぎ手や曳き手、踊り手などを担う若衆や子ども衆がおり、集落内の年齢階梯制も含みつつ、より一層、複雑な様相を呈している。
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国指定文化財等データベース(文化庁)