大沢・上大沢の間垣集落景観
おおざわ・かみおおざわのまがきしゅうらくけいかん
概要
急峻な山が日本海に直接迫る能登半島北側は,海から強い季節風を受ける地域であり,多くの集落が内陸部に立地している。その中で,大沢・上大沢の集落は湾を成す低地に位置し,後背の狭い谷地の限られた傾斜面に耕作地を有する。集落は平安時代以降は志津良荘(しつらのしょう)に属していたと考えられる。
集落から離れた棚田では重労働を軽減するためにイナハザで稲を乾燥させてから運搬しているほか,海に面する集落の外周部には高さ4~5mの細いニガタケを垂直に立てて作った「間垣」と呼ばれる垣根を設置し季節風から家屋を守っている。現在でも稲作と並行して海藻採取等が続けられている。日本海に面した地域の半農半漁の生活様式の中で,里山の資源を耕作及び独特な形式の垣根として最大限に利用してきたことを示す大沢・上大沢の文化的景観は我が国の生活生業を知る上で欠くことのできないものである。
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国指定文化財等データベース(文化庁)