砺波の生活・生産用具
となみのせいかつ・せいさんようぐ
概要
本件は,富山県西部の砺波地方で営まれてきた生活や生業に関する用具類を網羅的に収集・整理したものである。
砺波地方は,富山県西部を流れる庄川と小矢部川流域に形成された扇状地と平野からなり,特に扇状地では家屋周辺の樹林を有効に利用した生活が営まれるとともに,稲作を中心とした農耕に様々な生業を複合させて生計が立てられてきた。
生活用具は,衣食住をはじめとする日常生活の用具類全般だけでなく,婚姻や葬送,年中行事などのハレの場で用いられる用具などもあり,この地域の生活を総体的に理解できる収集となっている。
生産用具は,稲作を主とした農耕に,山樵や養蚕,紡織などを複合させた生業の様相が読み取れるほか,村の中の生活や生業を支えた桶屋,鍛冶屋,村医者などの用具類も収集されている。また,農耕用具の中には,大正期から裏作で行われているチューリップの球根栽培用具も含まれており,地域的特色がみられる。
これらの用具類には,この地域で考案されて普及した用具類や,この地域の特色ある習俗で用いられる用具などもみられるほか,この地域が北限と考えられる用具,東日本と西日本のそれぞれに顕著な用具も混在してみられる。