絵本拾遺信長記
えほんしゅういしんちょうき
概要
「絵本拾遺信長記」は、織田信長対大坂本願寺等の一連の戦をまとめた絵入りの読物で、江戸時代後期に刊行された。天正4年(1576)7月、海賊衆村上氏らと織田信長勢が大阪湾で激突した木津川口合戦の一場面が挿絵に描かれている。織田方の兵100人余りが乗船している大船に対し、村上景広は小船を寄せて、熊手をかけて飛び乗ろうとするが、織田方に熊手の柄を切り取られ、景広は自分の船に落ちる。しかし、景広の船に侵入してきた織田方の将を切り倒した景広らは、再び織田方の大船に乗り移り、ついに織田方の大船一艘を乗っ取った、と記されている。木津川口合戦において、実際にこのような戦闘があったのかどうかは定かではないが、右手に描かれた織田方の大船に対し、左手に描かれた村上氏の船はまことに小さく、熊手をかけて敵船に乗り移ろうとする様子は、いかにも戦国期の村上氏の姿を彷彿とさせる。
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愛媛県歴史文化博物館