川上ほうろ踊り
かわかみほうろおどり
概要
川上ほうろ踊りは、揖斐郡揖斐川町坂内の川上地区に伝わる太鼓踊りで、毎年秋分の日の前後の土曜日に、氏神である川上八幡神社の祭礼において奉納される。
いわゆる風流の太鼓踊りで、太鼓打ちと鉦打ちが背負う「ほうろ」と称する5メートルにも及ぶ長大な竹の背負い物が特色となっている。この竹の葉を落とした枝々に真綿が付けられ、所々に短冊も下がる。さらに竹の下の一の枝には丸帯3筋を5段に折ったものを下げる。この竹の飾り全体を「ほうろ」と称し、これが芸能の名称になっている。
祭礼の夜、祭り宿に神幸していた神が神社へ還幸する行列に伴って、祭り宿を「(道中拍子)」で出発し、新区長宅で「庄屋」、神主宅で「お伊勢」、薬師堂で「見物」・「かね汲み」を踊り、宮境(神社の参道口)で「カミナリ」、鳥居で「ケット」を打ち、神社の階段で通称「(ゾコゾ)」を打ち、八幡神社の拝殿前で「カミナリ」・「シジュウ」・「宮立ち」・「世の中」・「綾の踊り」(出雲の綾)・「街道くだり」を奉納し、最後に「シジュウ」を打って締める。以上のように踊る場所を変えながら次々と踊られ、いわゆる「掛け踊り」の形式をもっている。 この太鼓踊りの囃子のうち「(道中拍子)」・「カミナリ」・「ケット」・「(ゾコゾ)」・「シジュウ」は囃子のみで歌を伴わない。現行の歌は上記の8曲だが、明治半ばから大正頃の歌を記したとされる「澤崎本」には23曲が収められている。芸能の主たる担い手は、音頭取り2~3人、鉦打ち1人、太鼓打ち5人、警護(女装に花笠の若者で団扇を持って踊る)6人である。神社境内での踊りでは、この輪の中に一般の住民の中から熟練者が加わって大きな輪踊りを形成する。