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波照間島のムシャーマ

はてるまじまのむしゃーま

概要

波照間島のムシャーマ

はてるまじまのむしゃーま

無形民俗文化財 / 沖縄

選定年月日:19931126
保護団体名:波照間民俗芸能保存会

記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財

 日本最南端の島である波照間島【はてるまじま】で行われるもので、ムシャーマという語は、「ムッサーハー(おもしろいこと)」あるいは「ムシャー(武者あるいは猛者、亡者とも)」にちなむものともいい、明確ではないが、旧盆に島をあげて多種多様な民俗芸能を演じるものである。
 島全体が東、前、西の三組に分かれ、当日の朝、各組ごとに所定の場所に集まり、行列を組んで会場となる公民館へ進む。各組の列は、先頭と最後の部分の構成は共通で、先頭は大旗【ぶーばた】の旗持ち、次に五穀豊穣【ほうじよう】を意味するミルクヌナーリ(弥勒【みろく】の実【み】)とよぶ竹に色紙などを飾るものを持つ者、ミルク(弥勒【みろく】)、ミルクの椅子持ちと袖持ち役の二名の子ども、「五穀の籠」とよぶ竹かごを持つ少女二名、ミルクンタマー(ミルクの子ども)とよばれる一〇人ほどの子どもたち、さらに弥勒節【みるくぶしい】の歌い手と三味線(三線)、笛がつく。次からは組ごとに、豆【まみ】どうま節【ぶし】や稲摺節【いにすりぶし】など、その年々に準備された一〇ほどの芸能が、それぞれ歌い踊られながら続き、その間に魚釣りの様や、投網を打つ様を演じる者なども加わる。行列の最後の方は各組とも六尺棒、刀などを手に武術的な演技である棒【ぼー】を行う若者たち、太鼓【てーく】の若者たち、一番最後が二頭の獅子である。以上の行列が公民館に達すると、各組の太鼓、棒が披露され、続いて念仏踊【にんぶちやー】がある。午後から公民館の中庭に特設された舞台で、組ごとに舞踊や芝居の上演が続き、最後は各組の獅子舞となり、終わると朝と同様に行列を組み、演技しながら各地区へと戻る。
 以上の一連の芸能には、五穀豊穣を祝い翌年の豊作を祈る要素がみられ、沖縄各地域の豊年祭と通じるが、ムシャーマはなかに念仏踊を含み、また七月七日から始まる準備や十六日の後かたづけまでを含めた全体の行事は、祖霊をまつる盆行事のなかに組み込まれているなど、芸能の変遷の過程、さらに地域的特色を示す重要なものである。

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