木造〈持国天/増長天〉眷属立像
概要
これら三躯の四天王眷属像は、既指定の静嘉堂所蔵の一躯(重文)と共に一具をなすもので、各像の岩屋裏に書かれた銘によって、これらが文永四年(一二六七)に内山永久寺真言堂に安置するために、運慶の孫といわれる仏師康円によって造られたことがわかる。
龍王などの異類である眷属の姿は、図像などにみることができるが、彫刻としては、現存唯一の異例といってよい。それぞれ表情・髪形・服制などに変化・対照が意図されており、彩色もこれに合わせて色調・文様を措き分けて、一具の群像としての工夫がこらされ、そこには当代の代表的作家康円の秀れた技巧がうかがわれるが、全体に工芸的な趣致にまさるのは、小品のゆえばかりでなく、鎌倉後期彫刻の一面を示すものでもあろう。