美濃流しにわか
みのながしにわか
概要
にわかとは近世の大坂で生まれた即興的な寸劇であり、上方の落語・万才・喜劇に大きな影響を与えた芸能史上重要な芸能である。大坂のにわかは後に舞台芸に発展し、明治末以後急速に衰微したが、各地に伝播し民俗芸能化したにわかのいくつかは、現在もなお地元の祭礼においてその命脈を保っている。
美濃流しにわかは、春の美濃祭りの宵に演じられ、少なくとも十九世紀初頭までは資料的にその起源をさかのぼることができる。このにわかは、各町内ごとに若者が主体となって、松などで飾ったにわか車に太鼓を載せ、笛とともに囃子を奏でながら旧市街を流して歩き、町の辻々でにわかを披露するなど、近世の流しにわかの形態を色濃く残している。独特の美濃町弁で演じられるにわかは、その時々の話題を盛り込んだ時事性豊かなもので、その形態の古風さと対照的に毎年の新作が不文律となっている。さらに、定型的口上やオチに至る定型的な演技を伝えるなど、にわかの古格を伝えるものとして貴重である。
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