能装束 金紅片身替詩歌文様厚板
のうしょうぞく きんべにかたみがわりしいかもんようあついた
概要
能装束 金紅片身替詩歌文様厚板
のうしょうぞく きんべにかたみがわりしいかもんようあついた
東京都
江戸/1601-1800
表は繻子地金襴、裏は濃紫平絹(後補)の袷仕立てである。左右半身ずつを金地、紅地に仕立てた片身替りの意匠構成をとる。身頃、衽および袖は左右前後で地色が変わり、各肩山で別色に切り替わる。襟は、金地に縫い合わされる部分は金、紅地に縫い合わされる部分は紅となている。使用されている禁止は平金糸で、半越に折り入れ、別搦糸で綴じ付ける。
文様は、金地には紫、紅地には金で『和漢朗詠集』所収の春歌四首、雑歌二首の計六首を流麗な字体で織り表す。文字は、語句毎に区切り、不規則に斜めに散らす。袖に丸み線の後が二本見られる。
左襟裏に、「厚板/金紅片身替り」(「高阪」朱円印)の紙札を縫い付ける。右襟裏には、三枚の付札があり、それぞれ「八号(「諦楽舎」朱円印)「八號」「諦楽舎」と記す。また、左後身頃の裏には「八號」の布を縫い付ける。
身丈142.0 裄67.0 前身幅38.0 後身幅39.0 袖丈53.7 袖幅29.8
袖口明22.7 襟肩明12.0 衽幅22.5 衽下り11.0 襟幅14.8 襟下37.2
(㎝)
1領
東京国立博物館 東京都台東区上野公園13-9
重文指定年月日:20070608
国宝指定年月日:
登録年月日:
独立行政法人国立文化財機構
国宝・重要文化財(美術品)
左右半身ずつを金地、紅地に仕立てた片身替りの意匠構成をとり、『和漢朗詠集』所収の六首を流麗な字形で織り表した能装束厚板である。本厚板は、金と紅の色彩的な対比効果を背景に、散らされた文字も雑然となることなく格調高い雰囲気を生み出している。能装束厚板の意匠として他に類例のない優品である。
①池氷(凍)東頭風渡解 窓梅北面雪封寒(立春 藤原篤茂)
②としのうちに 春は来にけり 一とせを こそとやいはん ことしとやいはむ (立春 在原元方)
③はる立と いふはかりにや みよしのゝ 山もかすみて けさはみゆらむ (立春 壬生忠岑)
④聲来枕上千年靎(鶴) 影落盃中五老峯(鶴 白居易)
⑤あまつ風 ふけいのうらに いるたつの なとか雲いに かへらさるへき (鶴 藤原清正)
⑥君ならて たれにかみせん むめのはな いろをも香をも しる人そしる (紅梅 紀友則)