竹林七賢図
8面(旧永島家襖絵)
概要
異端、奇想、奇矯…。簫白を語るときに頻繁に用いられる言葉である。たしかに茅屋(かやや)の中で談笑する人物の独特の表情を見ていると、これらの言葉が頭に浮かぶ。しかし蕭白の魅力は、それだけにとどまらない。
明和町の旧家永島家に描かれた襖絵四十四面のうち、八面に描かれた《竹林七賢図》は、蕭白の優れた画技がうかがえる作品である。竹に積もる柔らかい雪や、高士の衣のように、まったく質感の異なるモチーフを墨一色で的確に表している。また、雪の重みで顔を垂れる竹の動きは、見る者の視線を左方へ誘う。後ろ向きの人物の進行方向も左、さらには談笑する五人の人物の配置、高士の手にする杖など、あらゆるモチーフがこの竹の動きと呼応し、左へ画面が展開していくことを暗示している。
蕭白の魅力は、自由奔放な画風だけではない。墨使いや画面の構成も巧みなのである。 (道田美貴)