後拾遺和歌抄〈上下/〉
ごしゅういわかしょう
概要
『後拾遺和歌抄』(二十巻)は、白河天皇の勅命で藤原通俊が応徳三年(一〇八六)に撰進した勅撰和歌集で、本帖はその鎌倉時代前期の書写本である。
体裁は粘葉装であるが、糊離れのため現在は紫糸で仮り綴じとされている。本文は斐紙に四周押界を施して書かれ、首に仮名序を付し、半葉十一~十三行あて、和歌は一首一行書き、詞書は一字下げに書写されている。本文中には本文と別筆で和歌の追記書き入れや、人名や語句等の勘物書き入れがあり、各巻首上部余白に所収歌数記入があり、和歌のうちには歌題を朱書したものもある。帖末には本文と同筆で「長承三年十一月十九日以 故礼部納言自筆本 書留了」云々の本奥書があり、本帖は撰者藤原通俊が撰進後の寛治元年(一〇八七)に校訂した自筆本の系統に属すことを明らかにしている。またこの奥書の前後には藤原為家が出家後、子息為相に本帖を譲与する旨の譲与奥書が記されている。本帖は冷泉家に伝来したもので、『後拾遺和歌抄』の現存最古写本として国文学史上に貴重な遺品である。
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