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鼠志野草花文鉢

ねずみしのくさばなもんはち

概要

鼠志野草花文鉢

ねずみしのくさばなもんはち

陶磁 / 安土・桃山 / 近畿

京都府

桃山

 素地は灰白色陶胎で、内面の中程にわずかな段をつけて立ち上がる大型の鉢である。成形は轆轤水挽きの後、変化を加えている。内面の段は緩く、底部を浅くくぼませる。体部は丸みを持ってゆったりと外に開いて立ち上がり、口辺には三方を下方に外反させて山道状にうねりを作り出し、不整な円形に仕上げる。底は緩やかな丸底とし、三方に小さな粘土板を曲げて貼りつけた脚とする。素地の全面に鬼板(鉄分の多い赤土)を化粧掛けするが、外面底部中央は丸く、内面体部上半は三日月状にそれぞれ掛け残す。文様は主に鼠志野独特の鬼板下地を掻き落とした線刻で表し、全体に長石釉を掛ける。口辺は二重圏線で区画し、三方に宝尽文と幾何文をそれぞれ配する。内面には、下方に二重線で地面を表現し、その中央には太湖石を、両側には籬を配し、そこから立ち上がる女郎花風の草花文を全面に大きく表す。鬼板下地は線刻で、掛け残しの白地には鉄絵具で描く。底の三方の脚両側には、それぞれ目跡が残る。

高8.8㎝ 口径31.8㎝

1口

京都国立博物館 京都府京都市東山区茶屋町527

重文指定年月日:20100629
国宝指定年月日:
登録年月日:

国(文化庁)

国宝・重要文化財(美術品)

鼠志野は志野の一種で、下地に鉄分の多い赤土をかけ、それに長石釉をかけることにより鼠色に発色することから命名されたやきもので、美濃窯の桃山時代を代表する陶器の一つである。
  本作品は、鼠志野では遺例が極めて少ない大型の鉢で、変化ある器形の内面全面に、太湖石を中心に女郎花風の草花文様が、掻き落としによる線刻と絵絵を組み合わせ、見事に一体とした構成として、くっきりと巧みに施されている。鼠志野を代表する優品として貴重である。

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キーワード

志野 / / 長石 /

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