灰被天目茶碗(虹)
はいかつぎてんもくちゃわん(にじ)
概要
灰被天目茶碗(虹)
はいかつぎてんもくちゃわん(にじ)
福岡県
元
(天目茶碗)
素地は黒褐色を呈する陶胎で、硬く焼け締まる天目形の茶碗。口辺はわずかに内にくぼませ再び口縁を外側に捻り返し、胴はわずかに膨らみをもたせる。腰がすぼまり、底には中央がややくぼむ内反り高台を削り出し、高台脇をせまく平に削る。胴下部から底には篦削り調整を施す。内面底部は広く平に仕上げる。
内外面全体には左右に漆黒釉と褐釉を厚く掛け分けて重ねて掛けるが、腰から底は露胎とする。掛け分けの釉境が窯変により銀色に発色し、裾の一部は下地の釉が黄色を呈する。
口縁には銀覆輪がかけられる。高台内に朱銘。高台の一部が欠失する。
(天目台) 明時代(16世紀)
木製黒漆塗り、七稜花形の羽根をした天目台。酸漿の胴には互い違いの二段に各七箇、鐔の表裏には互い違いの二段に各七個、脚には一段に五個、それぞれ螺鈿で梅鉢文を規則的に表す。各梅鉢文の上下には、間に鱗文を廻らした圏線や一重あるいは二重の圏線を廻らす。鐔の縁は微塵の青貝を蒔く。
口縁と裾には真鍮覆輪がかけられる。
高6.9 口径12.2 高台径4.4
(附天目台)高7.8 羽根径15.5 底径7.7 (㎝)
1口
九州国立博物館 福岡県太宰府市石坂4-7-2
重文指定年月日:20120906
国宝指定年月日:
登録年月日:
国(文化庁)
国宝・重要文化財(美術品)
二重に掛けられた釉のうち下釉の色調が白色系で灰色を呈するものが多いことから灰被と呼ばれる。曜変、油滴、玳玻盞とともに唐物天目茶碗を代表するもので、室町時代末期から桃山時代前半に茶の湯の茶碗として重用された。本茶碗も典型的な天目形をなし、黒釉と黒褐釉が見事に発色し、左右に掛け分けられた斜めの釉境が窯変により銀色を呈し、虹を思わせる釉景色を作り出している。これにより「虹天目」とも呼ばれた。
灰被天目茶碗の中で足利義政所持とされる大名物の一つで、灰被天目茶碗を代表する優品であるとともに、茶道文化史上貴重な遺例である。