鼠志野向付
ねずみしのむこうづけ
概要
腰部から胴部が短く立ち上がり、口縁部が大きく開く平向付である。口縁部の4ケ所を外へ摘み出して器形に変化をもたせ、底部には半環足を3ヶ所に貼付している。全面に錆化粧を施し、内面底部に芦文、口縁部内面には相対する二方に間道文、残りの二方に格子と網干文を掻き落として、長石釉を全面施和する。焼成は良好で、長石釉はよく熔けて透明化し、下の錆化粧が茶褐色に発色している。内面に3ヶ所、底部に一ヶ所の円錐ビン跡が残る。芦文は大窯最終末の志野でよく用いたモチーフのひとつであり、鼠志野製品を一定量生産した元屋敷束1号窯の新しい段階の製品であろう。
所蔵館のウェブサイトで見る
土岐市美濃陶磁歴史館