長崎くんちの奉納踊
ながさきくんちのほうのうおどり
概要
この奉納踊といわれる行事は、長崎市の諏訪神社の秋の祭りに奉納されるもので、様々な芸能が含まれる。寛永年間から歴代の長崎奉行が、特にこれを奨励したので年々盛大となり、長崎の伝統行事として市民生活に定着してきたものである。
この祭りの次第は十月七日神輿渡御、九日神輿還御及びこの三日間に行なわれる奉納踊である。奉納踊の行事は七年に一回廻ってくる当番の各町(踊町という)ごとに、傘鉾・本踊・出しものなどを連ねて市内を行列し、諏訪神社・御旅所・伊勢宮・八坂神社・市公会堂前などで上演するものである。
傘鉾は踊町の行列の先頭に立つもので、だし(上部の飾り物)にそれぞれの町の工夫がなされている。盛時は七十二を数えたが、現在は約半数に減少している。本踊は舞踊で、踊町内の人が踊るが、踊町内で編成できない場合は、検番(丸山町・寄合町)に依頼する。踊りの内容は特に定まったものはない。出しものには竜踊・竜船・川船・鯨の汐吹き・御座船・唐人船・コッコデショなどがある。
奉納踊の準備は六月一日の小屋入りから始まる。各踊町から踊り子や世話方が美しく着飾って諏訪神社・伊勢宮・八坂神社の修祓を受け、八月・九月と各踊町で稽古を積み、十月四日の人数揃いではじめて新調の衣裳・道具をつけ、町内で総ざらいをする。
この奉納踊の行事はきわめて多彩な内容を含み、特に長崎独特の文化的伝統を伝えるものとして重要である。