賀茂祢宜神主系図(凡例並目録共)
かもねぎかんぬしけいず
概要
京都の上賀茂神社(賀茂別雷神社)の社家に伝襲されてきた賀茂神社禰宜神主の系統的な大系図の一群である。いずれも紙を竪【たて】紙に継ぎ、一紙縦横十四・五目あて方眼に墨線をひいて、横系図に書かれている。十六巻のうち、古系図一巻は四十紙継ぎ、天長二年(八二五)卒去の男牀【おゆか】ら六名を首に出し、ついで在実以下横系図にして、だいたい文永年間以前を存し、鎌倉時代の書写になる。中古系図二巻のうち、上巻(三十九紙)は前記古系図を写したものであるが、種々の資料に照して補いをし、内容を詳密化している。下巻(百十枚)は家門別の系図で、氏・平・清・能など家門の通字により十六流に分けて、中世末期から明暦、万治年間までを存している。江戸初期の書写にかかる。新古系図は十二巻で、宝永元年(一七〇四)から五か年間に、賀茂神社の祠官たちにより前記古系図・中古系図などを参考に再吟味の上編成されたものを、国学者賀茂清茂が浄書したものである。歴史上有名な賀茂神社の社家の系図が、かくまとまって伝存していることは貴重である。
なお今回は、このほか古系図の遺例として新潟県無為信寺に所蔵の藤原隆家(九七九-一〇四四)流を中心とする藤原氏系図一巻、伊勢神宮に伝わる度会【わたらい】氏系図一巻が指定された。いずれも南北朝時代書写になる珍しいものである。