地蔵菩薩立像
じぞうぼさつりゅうぞう
概要
髪際高(はっさいこう)にして一尺となる立像。蓮華座の下に後補ながら雲が表され、来迎形(らいごうぎょう)の地蔵であることがわかる。持物を失うが、左手に宝珠(ほうじゅ)を載せ、右手には錫杖(しゃくじょう)を握ったとみられる。両手先がともに胸前の高い位置にあるが、来迎形であることとともに、東大寺公慶堂(こうけいどう)や藤田美術館の快慶の造った作品と共通する。切れ長の眼をした理知的な風貌や、足の運びに連動した着衣のひだの微妙な揺れの表現なども、やはり快慶風である。快慶自身とはいえないまでも、身近に接していた仏師の作と考えられよう。
なら仏像館 名品図録. 奈良国立博物館, 2010, p.105, no.136.