紙本淡彩陸〓奇勝図〈池大雅筆/〉
概要
本図は寛延二年(一七四九)大雅(享保八年~安永五年/一七二三~一七七六)二十七歳の年に、金沢の藩士小堀永頼(亀山)の別邸四序閣で描いたものである。前年の陸奥旅行で見た松島の景勝を描くよう亀山に求められ、その時の印象、あるいはスケッチで補足しつつ描いたのが本図である。この年の前後、大雅は西洋画に触れたり、中国画を手本として南宗画的手法を学ぶなど、旺盛な学習意欲を示した時期である。こうした中にあって実景に触れた深い感銘をその印象にもとづきつつ描いた本図には、水墨を基調として何物にも拘束されない自由な筆使いを窺うことができ、大雅の新たな様式を開いた記念すべき作品といえよう。