加藤嘉明書状
かとうよしあきしょじょう
概要
加藤嘉明が伊予の豪族武井五郎右衛門へ宛てた書状で、見舞いとして酢樽二つが遠路贈られてきたことについて、喜びの気持ちを返した礼状。もとは、当館保管の「武井家文書」に含まれていたもの。武井家は、戦国時代に武任姓を名乗って河野氏に従い、四国平定後には次々に入部した大名に仕えた武井宗意(貞通)の活動が知られ、江戸時代中期には松山藩御用絵師武井周発(常美)を輩出している。武井五郎右衛門は宗意の子で、嘉明との懇意な関係を維持し、嘉明が会津へ転封した後には長年の奉公への謝意や礼物が贈られるなど、厚い信頼を得ていた。嘉明が伊予支配の中で築いた在地勢力との関係の一例である。本書状は、嘉明の署名・花押から江戸時代初期の慶長年間終盤以降のに比定できる。簡潔な内容の贈答礼状のため、目的や背景など詳細ははっきりしないが、中・近世移行期の伊予支配の一端をうかがわせる1通である。
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愛媛県歴史文化博物館