伝ゴローニンの書
でんごろーにんのしょ
概要
この書は文化8年(1811)に国後島で日本人に捕らわれたロシア軍艦ディアナ号のゴロヴニン(ゴローニン)艦長が、文化10年に釈放されるときに記したものと伝えられてきた。しかし教養のあるロシア人が間違うとは思われない表記ミスがあることなどから、現在では、松前奉行支配同心(後に調役下役)村上貞助の手になる可能性が大きいという見方がほぼ定着している。
文化4年、樺太や択捉等でロシア人による日本人襲撃事件が勃発し、その報復として、ゴロヴニン等数人のロシア人が日本側に捕縛され松前に幽閉されていた。この時、貞助はロシア語の習得のために起用され、松前で幽閉中のロシア人から教えを受けた。彼の語学に関する能力は非凡なものがあり、短期間に数多くの通訳や翻訳をこなした。
書の内容はローマ時代の文人による『皇帝伝』の一節だが、ロシア語教授の一環として、ゴロヴニンが手本として示したテキスト、もしくは口述を貞助が清書したものではないだろうか。いずれにしても、貴重な資料である。
近年、貞助自筆のロシア語による書簡や書類が発見されているので、専門家による筆跡鑑定を待ちたい。
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