絎台
くけだい
概要
衣服などを縫い目の糸が表から見えないように縫う際に、布がたるまないように一端を固定して引っ張るために使用する、折り返し絎台である。
普段は折り畳んで保管するが、使用時は棹を270°回転して折り返し、L字型になるよう組み立てる。そして台板の上に座布団を敷き、棹が体の横にくるように座って絎台を固定する。台板の裏には棹との接合部に向けて傾斜をつけるために三角形の部材が取り付けられている。本来は掛糸の先に付いた掛針(掛針器)という金属製の道具に布を挟んで留め、引っ張りながら絎(く)ける(縫う)。これは、引っ張れば引っ張るほど、布が締まって外れにくくなるためである。しかし、本資料の掛針は錆びてしまったために現在は欠損している。
また、台板の端に一ヶ所小さな孔が開いているが、これは紐を通して壁に掛けて保管するためのものだと推測される。
なお、本資料には無いが、棹の先端に針刺し(針山)が付いているものや、針箱と一体化した絎台も各家庭では使われていた。
本資料は、寄贈者の祖母(明治生まれ)が昭和戦後に購入し、平成初期まで使用していたものである。
釘が錆びているが、全体の状態は良好。なお、掛糸は購入時のものではなく、取り換えられたものである。
ちなみに、当館はこの他にも絎台を1台所蔵している(2-01-01-34)。
<参考文献>
・日本民具学会『日本民具辞典』ぎょうせい,平成10年
・ 『絵引 民具の事典』河出書房新社,平成20年