牛図屛風
うしずびょうぶ
概要
銀色の地に、茶色と黒の牛が描かれています。黒い牛は前あしを折り、茶色の牛の足元にうずくまっています。近づいて見ると、青く描かれたつぶらな目がこちらを見ているようで、驚かされます。ほぼ実物大かのようなサイズとあいまって、まるでそこにいるかのようにリアルに見えます。顔のまわりの毛やしっぽ、脚など、よく見ると勢いを感じさせるかすれた筆づかいで描かれています。写実的な描写力の裏付けがなくてはできないことでしょう。
作者の森徹山(もり てつざん)は、江戸時代後期の画家で、義理の父の森狙仙(もり そせん)とともに円山応挙(まるやまおうきょ)に学び、すぐれた門人の10人に数えられました。猿を得意とした狙仙の動物の写生のたくみさと、円山派の「そこにあるかのような実在感」があわさり、徹山の特徴となっているようです。