草書五言絶句四首四屛
そうしょごごんぜっくししゅしへい
概要
四首の五言絶句を、一首ずつ草書で書いた作品です。絹織物の中でも滑(なめ)らかで光沢のある絖絹(ぬめぎぬ)に、荒々しい筆づかいでしたためられた書は、すさまじい迫力をたたえています。
この作品は、明時代の末から清時代の初めに活躍した傅山(ふざん)によるものです。傅山は代々学者の家柄に生まれ、30歳の頃には300人あまりの塾生の首席に抜擢されるほど聡明でした。しかし1644年、38歳の時に明王朝が滅ぶと、次の清王朝には仕えようとせず、生涯にわたって反抗しました。
傅山は若いころ伝統的な書を学び、流れるような美しい書体を得意としましたが、後に、技法的な巧さや外見上のあでやかさを追求する書に疑問をもち、のびのびと自由に筆を運ぶことこそ大事であると確信するようになりました。自分の子供に、書というものは「下手であっても技法が勝ってはいけない、みてくれが悪くても媚(こ)びるような美しさがあってはいけない」と教えた言葉は、後世に大きな影響を与えました。