金銀象嵌ループタイ留め具
きんぎんぞうがんるーぷたいとめぐ
概要
高岡市川原本町の象嵌師・本保桂泉作のループタイ留め具である。寄贈者によると、ループタイが流行していた時期に製作されたものである。昭和54年(1979)に起こった第二次オイルショックの影響により「省エネルック」が提唱され、その一環で「ループタイ」が流行した時期と思われる。
留め具部分は丸みを帯びた長方形で形成されており、そのフォルムを象るように銀の線や大小の粒で非常に繊細な象嵌が施されている。中心のひし形に高肉象嵌された赤銅部分の四隅それぞれにうずまき模様が彫られ、ひし形の中央には大きな金色の円、またうずまき模様とうずまき模様の間には小さな金色の円が配置されている他、外枠とひし形の隙間の4つの三角部分は、金布目象嵌が施されている。
留め具の裏側には「桂泉作」と彫られている。
あまり華美ではないものの、上品で落ち着きがあり、極めてデザイン性の高いものであると同時に、桂泉の巧みな象嵌技術がうかがい知れる一品であると言える。
また、ループタイを形成している深い茜色の丸打紐の先端には銀製のアグレットが付いており、丸打紐との色の対比が鮮やかで良いアクセントになっている。
【省エネルック(しょうえねるっく)】
第二次オイルショック(昭和54年(1979))の影響を受け、省エネルギーのために提唱された夏用の紳士服。ジャケットを半袖にしたスーツなどを大平首相らが着用し、政府主導で進められたが、定着しなかった。
HP「デジタル大辞泉」(平成28年8月19日アクセス)
【ループタイ(るーぷたい)】
装飾を兼ねた留め具をつけた紐ネクタイの通称。
HP「大辞林 第三版」(平成28年8月19日アクセス)
【アグレット(あぐれっと)】
紐などの先についている金属製・プラスチック製の具。紐がほつれるのを防ぐ。
HP「デジタル大辞泉」(平成28年8月19日アクセス)
※参考
・HP「アラ商事株式会社」(平成28年8月19日アクセス)